骨密度測定
当院では全身骨密度測定機器を導入しています。ガイドラインで推奨されている「腰椎」と「大腿骨」のDXA法による、精度の高い骨密度測定が可能です。半年に1回、定期検査を行うことにより、治療の効果判定や今後の骨折リスクに対する予防策を講じることができます。
骨粗鬆症
Osteoporosis
骨粗鬆症とは、鬆(す)が入ったように骨がスカスカになって脆くなるため、軽い転倒などにより骨折しやすくなる疾患です。原因として、加齢、閉経後の女性ホルモン(エストロゲン)の欠乏や運動不足などが指摘されています。特に問題となるのは、入院や手術が必要となることが多い、脚の付け根の骨折(大腿骨頚部骨折)や背骨の骨折(胸腰椎圧迫骨折)です。ベッド上で過ごす期間が長くなると、元のように歩くことが難しくなり、やがて寝たきりになってしまうリスクが高くなります。さらに足腰の筋力低下、うつ病、認知症などが続発しやすくなり、結果的に健康寿命(健康で自立した生活を送れる期間)が短くなってしまうことが危惧されます。骨粗鬆症はきちんと治療すべき病気です。
エストロゲンの分泌量低下と密接に関連する骨粗鬆症は、圧倒的に女性に多く、閉経後から骨量が急激に減少しはじめます。皮膚などの組織と同様、骨にも新陳代謝があり、新たに骨を作る「骨形成」と古い骨を壊す「骨吸収」を繰り返しています。これらのバランスが崩れると、骨粗鬆症が発症します。エストロゲンには、骨吸収を抑える働きがありますが、エストロゲンの分泌量が低下すると骨吸収のスピードが速くなるため、骨形成が追いつかず、骨量が低下してしまいます。女性は50歳を過ぎたら、一度骨粗鬆症の検査を受けることをお勧めします。
骨粗鬆症のみでははっきりとした自覚症状に乏しく、骨粗鬆症が進行していても気づかずに、骨折をしてからはじめて検査で判明するケースも多く見られます。20歳代の頃と比べて身長が4㎝以上縮んでいる、背中や腰が痛む、あるいは曲がってきたなどは、骨粗鬆症を疑うべき初期の症状です。積極的に検査を行った方がよいでしょう。
当院では全身骨密度測定機器を導入しています。ガイドラインで推奨されている「腰椎」と「大腿骨」のDXA法による、精度の高い骨密度測定が可能です。半年に1回、定期検査を行うことにより、治療の効果判定や今後の骨折リスクに対する予防策を講じることができます。
骨代謝マーカーを調べることにより、骨吸収と骨形成のバランス異常の有無がわかります。
背骨(胸椎や腰椎)のレントゲン撮影を行い、骨折や変形の有無を確認します。
カルシウムやタンパク質は骨の主成分となる栄養素です。カルシウムは食品として、1日に700~800mg摂取するとよいでしょう。また、カルシウムの吸収を助けるビタミンDや、骨を作るのに重要なビタミンKを多く含む食品を摂ることも大切です。偏食や極端なダイエット、喫煙や過度のアルコールやカフェインの摂取はやめましょう。
運動による刺激が加わると骨形成が促進され、骨はより丈夫になります。さらに筋力が向上すると、歩行が安定し、転倒しにくくなります。激しい運動をする必要は無く、ウォーキングやジョギング、エアロビクスなどの軽度から中等度の強度の運動で十分です。また、日光に1日数十分当たることで体内のビタミンDが活性化されるので、天気の良い日は散歩をすることがおすすめです。
骨粗鬆症が進行している場合、食事療法と運動療法に併せて薬物療法が必要となります。近年、多くの種類の薬剤が開発されており、骨の破壊を抑える「骨吸収抑制剤」、新しく骨を作るのを助ける「骨形成促進剤」、骨の栄養素を補充する各種ビタミン剤、カルシウム剤などがあります。診察および検査結果により、患者さんそれぞれの病態や生活に合った治療をご提案いたします。骨粗鬆症の治療には定期的な検査と治療の継続が大切です。将来の寝たきりを予防するため、きめ細やかなサポートを行います。